序論 相続手続きの全体的な流れ
1.法定相続人を確定する(調査が必要)
2.相続財産を調査(動産・不動産)し相続財産目録の作成する
3.相続人全員にて遺産分割協議をする→合意で4へ (→合意に至らなければ調停などへ)
4.遺産分割協議が合意の場合、作成した遺産分割協議書及び相続人全員の印鑑証明書にて、名義変更、解約手続きを行い、各相続人へ引き渡す
相続手続きで『まさか』の落とし穴!不動産調査で知っておきたい3つの驚きの事実
「実家の不動産は、毎年届く固定資産税の通知書を見れば全部わかるはず」
「役所の手続きなんて、時間をかければ自分でもできるだろう」
相続手続き、特に不動産の調査について、このようにお考えではないでしょうか?
確かに、書類を集めること自体はそれほど難しいことではありません。しかし、実際に進めていくと「書類は揃ったのに、肝心なことを見落としていた」というケースがあります。
今回は、専門家でさえ慎重になる「不動産調査の落とし穴」を3つご紹介します。これらは一見すると単純な作業に見えますが、実は将来のトラブルを未然に防ぐための、高度な判断が求められるポイントなのです。
1. 固定資産税の通知書だけでは見えない「隠れ不動産」
相続財産をリストアップする際、多くの方が頼りにするのが「固定資産税の納税通知書」です。しかし、これだけで安心するのは非常に危険です。なぜなら、私道(公衆用道路)などの「非課税の不動産」は、そもそも課税されないため通知書には記載されないからです。
そこで地元の自治体に出向き、「名寄帳(なよせちょう)」という、その人が所有する不動産の一覧表を取得することができます。これ自体は、窓口で申請すれば誰でも入手できる簡単な手続きです。ただ、そこまで把握している方はごく一部だと思います。
また、記載内容から権利関係のズレやリスクを読み解く必要があります。もし、共有持分となっている私道の存在を見落としたまま遺産分割をしてしまうと、将来その土地を売却しようとした際に「権利がないため売れない」という事態に陥りかねません。この「見えない不動産」の特定こそが、専門家の調査が必要とされる理由です。
2. 登記簿に載っていない「未登記建物」の処理
次に注意したいのが、法務局に登記されていない「未登記建物」です。古い離れや増築部分などがこれに該当しますが、これらは登記簿を取得しても出てきません。
名寄帳などの課税資料と現況を照らし合わせれば、「おや、登記簿にはない建物があるな」と気づくこと自体は、注意深い方なら可能でしょう。発見することまではできるかもしれません。しかし、そこまでできる方はまた少数派でしょう。
さらに、「見つけた後、どう処理するか」です。未登記建物の名義を相続人に変えるには、法務局で新たに登記を起こすのかなど、建物の状況や将来の活用予定に合わせて判断をする必要があります。
もし誤った判断をして登記をしないまま放置すれば、その建物を担保に融資を受けることはできず、遺産分割協議書への記載漏れがあれば親族間トラブルの火種にもなります。単なる「名義変更」ではない、状況の把握と法的効力が伴う手続きの必要性があります。
3. 農地を相続した時の「農業委員会」への対応
もし相続財産の中に田や畑が含まれていれば、法務局での手続きとは別に、地元の「農業委員会」への届出が義務付けられています。
この「届出」自体は、相続があったことを知らせるだけの報告的なものであり、書類作成も比較的シンプルです。「これなら自分ですぐに出せそうだ」と感じるほど、手続きの入り口は簡単に見えそうです。
しかし、ここにも大きな落とし穴があります。農地の活用方法によって手続きも違います。また農地法には厳しい規制があり、届出を怠れば過料などの罰則があります。そのままにしておくと勝手に宅地に転用したり売却したりすることはできず、将来的に「負動産」化してしまうリスクもあります。
単に紙を一枚出すだけでなく、その後の管理や転用の可能性まで見据えて、的確に手続きの内容を把握し農業委員会に申請する必要があります。その判断には、農地法などに精通した手続きの専門家の知見があるほうが良いと思います。
不動産相続の「見落とし」は、将来の大きなリスクになります
ご紹介したように、不動産調査は「書類を集める」ことよりも、「集めた書類からリスクを読み解き、最適解の判断をする」ことの方がはるかに重要で、かつ困難です。
ご自身で手続きを進めようとして、「あの時、専門家に聞いておけばよかった……」と後悔する前に、まずは専門家の視点で財産状況をみてもらうのもひとつの選択肢と言えるでしょう。
相続手続きの落とし穴クイズ
お疲れ様でした!
「見えないリスク」を早期に発見し、
将来のトラブルを防ぐことが最も重要です。