静岡県内で日々現場を支える個人事業主の皆様、ご覧いただきありがとうございます。「500万円以上の工事の話があったけど、許可がないから断ってしまった。インボイスとともに、許可も取るようにそれとなく言われた」…そんなお困りごとを抱えていませんか?

建設業許可は、事業を拡大し、元請業者や金融機関からの信用を得るための「最強のライセンス」です。しかしながら、「行政書士さんに頼むと高いし、自分で準備するにはちょっと、、、」と二の足を踏んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この解説(全8回)では、静岡県独自のルール(手引きVer.11.1)に基づき、個人事業主様が許可を取得するための手順を徹底的にわかりやすく解説します。第1回となる今回は、細かい書類の話をする前に、まずは「許可取得の全体像」を掴んでください。「自分にはさっぱりわからない」という思い込みを、「こういうことなのか!」という理解に変えることが今回のゴールです。

1. 許可が必要な「軽微工事の基準」

建設業法では、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合を除き、建設業の許可を受けなければならないと定めています。では、そのラインはどこにあるのでしょうか。

  • 建築一式工事以外(大工、左官、塗装、内装、電気など):
    1件の請負代金が 500万円以上(材料費込み、税込)
  • 建築一式工事(新築工事や大規模増改築など):
    1件の請負代金が 1,500万円以上(税込)
    ※ただし、延べ面積150㎡未満の木造住宅の新築工事は「軽微工事」に該当し、許可不要です。
材料費込みの判定

発注者が材料を提供した場合でも、その市場価格を含めた合計額で判断されます。契約を意図的に分割して基準額未満に見せかける行為も禁止されています。

例:元請業者が200万円相当の機械を支給し、取り付け工事を350万円で請け負った場合、契約書上は350万円でも「200万円+350万円=550万円」とみなされ、許可が必要です。

無許可営業は建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(併科あり)に問われるリスクがあります。

2. 許可を取得するメリット

  • 社会的信用の向上: 許可業者は厳しい審査をクリアした「国または県知事のお墨付き」の事業者。許可番号を名刺やホームページに載せるだけで信頼度が格段に上がります。
  • 融資が受けやすくなる: 銀行や公庫で融資を受ける際、許可証の有無は審査の加点ポイント。
  • 公共工事への参入: 経営事項審査(経審)を受けるには許可が必須。

3. 許可取得の5つの要件(掛け算の関係)

静岡県で許可申請を行うには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。どれか一つでもゼロ(不許可事由)があれば、許可は下りません。

【図解:許可要件の全体像】

① 経営業務の管理責任者(経管)

常勤役員等に一定の経営業務経験が必要。個人事業主の場合は、原則として本人に5年以上の経営経験が求められ、かつ事業所として社会保険加入義務履行の遵守が求められます。

② 営業所技術者等(専技)

営業所ごとに常勤の技術者を置くこと。国家資格、指定学科卒+実務経験、または長期の実務経験で充足され、かつ事業所として社会保険加入義務履行の遵守が求められます。

③ 誠実性

請負契約に関して不正行為をするおそれがないこと。過去の法令違反歴も審査対象。

④ 財産的基礎(金銭的信用)

一般建設業では500万円以上の資金力が基準。残高証明・融資可能証明・決算書などで証明。

⑤ 欠格要件・社会保険

暴力団関係者でないこと、過去に法律違反がないこと。令和2年改正以降、社会保険の加入義務を遵守しているかが厳格に確認されます。

4. 申請手数料(静岡県知事許可)
静岡県の手引より

一般・新規:9万円(静岡県収入証紙で納付)

不許可や取り下げの場合でも返還されません。

5. まとめと次回予告

「自分にはハードルが高いな…」と感じたかもしれません。しかし、一つ一つの要件を分解して準備すれば、決して不可能なことではありません。

次回は、最も多くの人が難しいと感じる「経営業務の管理責任者(5年の経験)」について詳しく解説します。確定申告書や役員在籍証明など、どの資料で証明できるのかをシミュレーター機能を交えてご紹介します。